+ トラウマ【江原啓之】
恋愛、人間関係、外見、SEXなど63パターンに渡りトラウマについて「それは前世で**だったから(稀に現世での問題も)、こうなのです」と解説する。
大抵は「今苦しんでいる状況は、現世で魂を磨く為に自らが組んだ学びのカリキュラムなのです」で要約出来る。
そう言われて前向きに立ち向かおうと踏み出せる人が居るのなら、それで良いのだろうけど。
エハラーの多くは2~40代女性、基本真面目で育ちも悪くなく、努力もする。だけど思うほど報われなかったり、期待しただけの幸せが得られなかったり、少し要領が悪かったりで、ちょっとだけ物足りないのが気になって仕方ない。そんな人が多いように思う。
それらの「努力しても上手くいかない悩み」は、自己と周囲との分析がずれているとか、無い物ねだりをしているから(これも周囲の分析が出来ていないからだ)。それは前世や守護霊や、江原さんにしか見えないものの対極で、多くの場合は世の中に目を向けて、諦めるだとか受け入れるという決断をして解決するしかないことで。
悪い言葉を閉め出したり有り難うを連発したり、魂のレベルを上げる事で、臨時収入があったり恋人が出来たり嫌な上司が転勤になったり不妊が治ったりする事は有り得ないのに。
そもそも褒美のための行動なら「魂のレベル」なんて言葉は違うんじゃないか。万が一、有り得たとしてもそれは「神様攻略スキル」だろう。
本当に魂のレベルの高い人は、非難されても茨の道でも自分の信じた道を往くものだと思う。
多分、私がスピな人が苦手なのはその辺の攻略臭なんだろうな。
波長の法則が本当なら、悪人は悪人で連んでくれるわけで、不幸は起こらない筈。たまたま善人の心の隙間が悪人と波長が合ったというなら、ヤだね~そんな意地悪で陰険なスピリチュアルワールド。例外の方が良く起こって、そちらで苦しむ人が多いなら、そっちに照準を合わせた方が良いのに。
因果云々も、そんな見た事のない前世や来世を信じる方がずっと危険だ。ハンディキャップを持って産まれた人や理不尽な不幸に遭った人に因果応報なんか説いてしまったり、「それはあなたがあなたの魂を磨く為に選んだカリキュラム」ってのは、もしも口に出せたとしても、もの凄く時と場合と相手を選ばなければいけないのではないだろうか?
「たまたま運が悪くてこうなった」と、世の中の不完全さや不公平さを受け止める方がずっと健全で、ひずみや副作用が少ないと思うのだが。前世やら何か、少なくとも自分の目に見えないものに理由を求めるのは、自分に対する冒涜にもなりはしないか。
多分これはこの本に対してではなく、私が時々出会う変なエハラーに対する愚痴も入ってますけどね。
オーラの泉が終わって随分経つが、私は江原さんに何を求めてたんだろうな。