+ 私の遺言【佐藤愛子】 | around the secret

+ 私の遺言【佐藤愛子】

 作者が51歳当時に建てた北海道の別荘。


 その別荘での30年に渡るポルターガイスト現象との戦い。


 ラップ音は序の口、電化製品が次々と壊れていったり、物の置き場が変わっていたり、足音がしたり、霊的なものに戦いを挑まれる日々。


 健康被害を起こし霊能者や神学者を頼ってゆくうちに、それが先祖が害したアイヌ達の怨霊であることを知る。

 何故怨霊が未だ成仏出来ないのか、迫害された人達が死して尚苦しまなければいけないのか、どうすれば成仏出来るのか、何故関係のない自分が恨まれなければならないのか・・・・・・それがあの世の仕組みを考えるキッカケになる。


 佐藤愛子が書いたものでなければ読まなかったかも知れない。読んだとしても、軽く読み流していただろうな。

 ○佐藤愛子 ○美輪明宏 ○江原 ○ポルターガイスト現象 ○霊能者達 は、一応分かる。

 だけど、最後の「酒鬼薔薇聖斗 憑依説」以降、恐らく作者の一番伝えたかったことは、よく分からなかった。

 作者が身を以て経験した事の考察は理解したい。でも経験していないものが「そうなんだ」と鵜呑みにするのは、大きすぎる話だ。やはり抵抗がある。


 私はまだまだ若輩者だが、親世代、自分世代、子世代の3世代が分かる年齢になりつつある。

 既に20代の頃から「最近の若いもんは!」と何度思ったか知れないが、これはただの時代の流れで、昔の悪習が浄化されている面も沢山あるように思う。


 若者の凶悪犯罪などと言うが、親世代の田舎での陰湿で原始的な苛めも相当恐ろしい。情で成り立った時代にも闇は存在する。そもそも昔ってそんなに良い時代だったのかな。それはいつの時代?


 日本人の美徳が失われつつあるのも分かる。個人的にそれは「お金を稼ぐ事だけが偉い」という風潮の元、育児や家庭が疎かになった結果だとは思うが、それは新たなる時代への試行錯誤なのではないだろうか?


 私達は戦争で生きていくのに精一杯だった世代でもない。
 好景気で夢一杯の世代でもない。食べるに困らない程度に裕福で暇で、だけど将来にはもう夢がなく、右肩下がりが約束された時代だ。

 このフィールドでこの時代に産まれ、霊的なものが見えない状態で生かされているのだから、超能力のようなウルトラCの使い手に導かれなくてもこの地道な悪あがきこそが学びなのだと思う。
 多分、ダメになったり立ち直ったり大きな過ちを侵しながらも、私たちの子孫もそれなりにダメにならずに生ききってくれる。


 ま、私はうちの一族の中では落ちこぼれ組なので、何の期待もされていないだろうし、干渉もされないだろう。


 ただ、将来、母親の介護で報われない想いを沢山する予定だ。
 その時の為に、この言葉を取っておこうと思う。

「自分一人がなぜこんな目に遭うのかと腹が立つことがあっても、これが自分に課せられたカルマだと思うと諦めがつく」